秘密の花園×名なしの森

「いいよ、付き合っても」

 それはあまりに唐突で、それこそ面食らった。

「ロミオとジュリエットってね、出逢った次の日に結婚して、その三日後に死んじゃうの」

 知ってた? と、くゆりさんは首を傾げる。なんとなくあらすじを思い出していた僕は、ゆるく首を横に振った。どういう意味で彼女がそれを持ち出したのか考えが及ばなくて、ぽかんとしてしまう。

 そんな僕に気付いたのか、

「つまり。恋に時間なんて関係なかったわけ。少なくとも、シェークスピアにとっては」

 そう言いながら、彼女は僕の頭を撫でた。

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