秘密の花園×名なしの森

 部屋のど真ん中に置いたローテーブルに彼を着かせて、好奇心に浮かれる気持ちを抑えながら部屋を後にした。

 階段を降りて、玄関の脇の台所。中身がすかすかの冷蔵庫の中から麦茶を取り出す。流しのすぐ横の棚にしまってあるタンブラーをふたつ取って、氷をいくつか入れて。麦茶を注ぐと、氷がピシピシと音を立てた。

 こんなにわくわくするのなんて、久しぶり。

 ……そうだ、あたし人と接するの――……。

 よく冷えた麦茶入りのタンブラーをふたつトレイに乗せて、あたしは部屋へと急いだ。

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