秘密の花園×名なしの森

「お待たせ」

 テーブルの脇に座っていた彼の前に、注いだばかりの麦茶を置いた。

「お、お構いなく……」
「いいえー。あたしが水掛けちゃったんだもん、気にしないで」

 お茶しかなくてごめんね、と言ったら、彼はふるふると首を振った。そして、小さな声で頂きます、と麦茶を飲んでくれた。

 ……彼は恥ずかしがり屋さんらしい。

「あの……」
「はいっ?!」
「そんなにキョドらなくても……」

 彼の反応がなんだか面白くて、思わず吹き出してしまった。そしたら、彼は照れたように笑った。
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