秘密の花園×名なしの森
どのくらいその状態が続いたんだろう。
「……しつき、みなと……です」
蚊の鳴くような声ってこういうことをいうんだろうな。そのくらい、聞こえるか聞こえないか……小さな小さな声で、答えてくれた。
「しつきみなと、さん……」
自分に言い聞かせるように、彼の呟いた名前を繰り返す。
なぜか、聞き覚えのある名前。
「まさか、“あの”後月湊さん?!」
思わず声が大きくなる。
彼はびくりと体を震わせて、たぶん、と頷いた。
――20070706 / つづく