秘密の花園×名なしの森

 不意に、僕の手を握っている彼女の手の力が強まる。両手で包み込むように、握られた手。

「大丈夫」

 さっきの会話となんら変わりのない、優しい声。僕は彼女の反応に怯えながらも、顔を上げ、彼女を見る。

 柔らかい微笑み。

 力強く握られた手があたたかくて、不思議と不安が消えていく。

「大丈夫だから」

 彼女は向かい側から僕のすぐ隣に来てくれて、抱きしめてくれた。

< 30 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop