秘密の花園×名なしの森

 それから、彼女は僕が落ち着くまでずっと抱きしめていてくれた。時々背中をさすって、頭を撫でてくれもした。

 初めてだった。

 こんな風に、女のひとに抱きしめられるのも、こんな僕を受け入れてくれたのも。

「……すみません、泣いたりして――」
「ううん、いいよ。自分の感情には素直になった方がいいもの……我慢は毒よ、心にも、体にも」

 優しい口調で紡がれた言葉は半ば自虐的で、なんだか切なくなった。

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