秘密の花園×名なしの森

「……あたしね」

 不意に、彼女はぽつりぽつりと語りはじめた。

「ものが食べれないんだ……拒食症ってやつ? 普通においしい料理とか、お菓子とか……食べたいのに。体がね、食べ物受け付けてくれないの。食べないから、どんどん痩せて、体重も減って……モデルとしてやってけなくなっちゃったんだ」

 そうか……だから。

 NANAさんを一目で彼女だと気付けなかったのは、化粧のせいじゃない。

 ――ЯeiaRに、NANAさんがいなかったから。

 僕が彼女に手紙を出したのは、たぶん三年前。それから一年くらいは誌面に彼女は載っていた。けれど……今は、ЯeiaRに彼女の姿はない。

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