秘密の花園×名なしの森
「普通に、なりたいのに……」
ぽつりとこぼれた言葉。
僕を抱きしめる彼女の腕の力が強くなる。僕は、彼女の背中にそろそろと手をやり、抱きしめた。彼女が僕にしてくれたのと同じように。
彼女の背中は、肉なんてほとんどなくて、背骨が浮き出ていた。肋骨なんて、直に触れているみたいだ。
折れてしまいそう。
壊れ物を扱うように、彼女の頭をそうっと撫でた。彼女はかすかに震えながら、鳴咽(おえつ)していた。