秘密の花園×名なしの森

 ふと我に返って、

「ごめんね、泣いたりして」
「いえ、僕こそ……」

 お互いにぱっと離れる。

 テーブルのタンブラーの中で、氷がからんと小さな音を立てた。麦茶の上に透明な層ができている。半分くらいの氷は溶けていた。

 そんなに長い間泣いて、抱き合っていたのかと思うと、ちょっと……いや、かなり、恥ずかしくなる。

 隣に座る彼を見ると、真っ赤な顔をして俯いていた。耳の先まで真っ赤。なんだかかわいらしい。

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