秘密の花園×名なしの森
きゅっと肩を抱いて、体を壁に預けながら蹲った。子どもみたいに膝を抱えて縮こまれば、自分自身の体温を感じられる。
こうしていればなんだって、どんなことだって耐えられたはずなのに、今は、どうしてこんなにも……
(――さみしいの、かな――……)
ひとりぽっちなんて、慣れっこなのに。さみしさに飲み込まれてしまいそう。
ついさっき、ほんとのついさっきまで、独りじゃなかった部屋。
抱きしめてくれた腕、優しく頭を撫でてくれた掌。
知ってしまった、ひとのぬくもり。
自分で自分を抱きしめるほど、あたし自身じゃない“誰か”が欲しくなる。
独りで立っていられた強いあたしはどこへ行った?
いたたまれなくなって、あたしは家を飛び出した。込み上げる涙を堪えながら。