秘密の花園×名なしの森
ひとりぽっちの部屋。
いつもあたし独りきりだからこれが普通なはずなのに、なぜか無性にさみしい。
(ついさっきまで、湊くんがいたんだもんね……)
あたしは机の上の紙切れに目をやる。別れ際、彼が教えてくれたメアドだ。赤外線通信で交換してもよかったんだけど、彼は肝心のケータイを家に忘れたらしいから(あたしは、あたしの名刺にメアドとケー番を書いて渡した)。
……筆圧が弱くて、ふうっと息を吹きかければ飛んでいってしまいそう。
なんとなく女の人っぽい文字。あの手紙と、おんなじ字だ。
あたしに勇気をくれた、あの手紙と――。