秘密の花園×名なしの森

 萌さんはじーっと、真っ直ぐにあたしの目を見てくる。なにか考え事をしてる時の、彼女の癖。無意識なんだろうけど……正直、彼女のこの癖にはまだ慣れない。というより、見つめられること自体に慣れていないせいだけど。

「――なにか、あった?」

 やっぱり。

 普段はほややんとした雰囲気を纏っているのに、観察眼は鋭い。彼女にはいつも、なにもかも見透かされてしまう。

 ばれちゃいました? と無理に笑って言えば、彼女はあったかい微笑みをくれた。

「なにか聞いて欲しいこと、あったりする?」

 相手が話したい時に話を聞く、無理に聞き出したりはしないというのが萌さんのポリシーだ。

 どこまで話していいのか迷ったけれど、少しずつ、言葉を選びながら慎重に話した。その内容は、勿論――……。

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