秘密の花園×名なしの森

「くぅちゃん、にっすいねぇ」

 今日の出来事を一通り(といっても湊くんのプライバシーに関係することは伏せたけど)聞いた萌さんの第一声はそれだった。意味がわからなくてぽかんとしていたら、鈍い子ちゃんやねってことよ、と彼女は笑った。

「……鈍くないです」
「全然! もう、かわいいなぁ」

 そう言う彼女の方が、可愛いと思う。

 ちっちゃな顔、ぱっちりとした目に泣きぼくろ。くるんと上を向いた長い睫毛、高めの鼻。人懐っこい笑顔が、なんとなくチワワっぽい。

 どんな時も柔らかな物腰、控えめ過ぎない上品さ。いつも相手を立てることを忘れない、気配りの出来るひと。同性のあたしから見ても、萌さんはとても魅力的だ。

 あたしの、憧れの女性のひとり。

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