秘密の花園×名なしの森
「図星って顔しとる」
口元に手をやり、彼女は苦笑した。
あたしは、彼女の目を見られなくなって俯いた。なんだか落ち着かなくて、膝の上で指を遊ばせる。
いつからだろう。
ありのままの自分を晒け出せなくなったのは。
親にだって素の自分で接することのできないあたしが、気を許せる人は少ない。その内のひとりが、萌さんだ。
自分で自分のことを全然わからないのに、このひとは――あたしのことを、あたし自身であるかのようにわかってしまう。
(萌さんには嘘、つけないなぁ)
まあ、吐こうとは思わないけど。