秘密の花園×名なしの森

 どのくらい、そうしていたんだろう。

「気付いとらんかもしれんけど――」

 不意に降ってきた彼女の声に、ぐるぐると渦を巻いていた思考から引き戻された。

 顔を上げると、萌さんはとても優しい笑顔であたしを見つめていた。

「くぅちゃん、今……恋しとる顔しとるよ」

(――……恋……?)

 あたしが?

 ……誰に――……?

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