秘密の花園×名なしの森

「それって、どういう――」
「ちょっとタンマ」

 どういう意味、と続けようとしたあたしの声を、彼女は遮った。

 萌さんはにこりと笑って、人差し指だけ立てた手を口元へやる。

「それは、くぅちゃんが自分で見付けなかんことやと私は思うよ?」

 あたしが、見つけなくちゃいけないこと?

 ぽかんとした顔をしていたら(たぶんしてたと思う)、急に手を握られた。小鳥を包み込むように、両手で、優しく。

「今、くぅちゃんが一番逢いたいのは誰?」

 柔らかい声音、けれどあたしを見据える瞳は真っ直ぐで、真剣だ。

(あたしが、今一番逢いたいひと……)

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