秘密の花園×名なしの森

 一瞬、何が起こったのかまったく理解できなかった。けれどその次の瞬間、それがなんだったのかわかった。

 つめたい。

 髪を透明なまあるい粒が伝い、こぼれる。毛束から垂れたそれは、肩や胸を濡らす。

 頭の上から、被ったのだ。冷たい、水みたいな液体を。

 ぽたぽたと地面に染みをつくるのを、僕はただただ見ていることしかできなかった。

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