秘密の花園×名なしの森

 あっという間に、家に着いた。

 ガラリと家の扉を開けて、階段を駆け上がる。うっかり戸締まりを忘れそうになった。

 踊り場に面した引き戸を開ければ、家を出る前と同じ寂しいあたしの部屋。

 あたしは、戸のすぐ脇にあるチェストの、一番上の引き出しを開けた。中には、湊くんがくれたあの手紙と、彼のメアドが書かれた紙。

 ガラス細工を手に取るみたいに、そうっとそれを広い上げて、胸に抱える。

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