秘密の花園×名なしの森

 洗い終えたカップとソーサーを乾燥機の中へ入れ、スイッチを押す。乾燥機がちゃんと作動したのを見届けてから、僕はそれから離れた。

 コンロの上のケトルを取って中をすすいで、水を入れて火に掛けた。その間に、茶葉とティーサーバーを準備する。茶葉は、この前姉さんが駅地下で買って来たアールグレイにしよう。

 水切りの横のラックに据えてあるカップを軽くすすいで、コンロの脇に置く。

 ケトルからこぽこぽと泡の音が聞こえだした。大体八十度くらいか。

 僕はケトルのお湯をティーサーバーとティーカップに注いだ。

 ケトルの中のお湯をすべて捨て、浄水器を通した水を入れてもう一度火に掛ける。ガスの青い炎が、ケトルの底を這うように揺らめく。それを確認して、僕は溜め息をひとつ、ゆっくりと吐き出した。後は沸騰するのを待つだけだ。

< 85 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop