秘密の花園×名なしの森

「あんたさぁ、なんかいいことでもあった?」

 唐突なその言葉に、どきりとする。今日は――くゆりさんとの約束の日。このことは誰にも話していないのに……。

「な、なにもないよ……?」
「バカねぇ。そんな始終にやけられりゃあ分かるわよ」

(にやけてたんだ……)

 つい癖で顔を背けると、嫌な予感が背中を走る。

「NANAちゃんとデートでもするわけ?」
「でっ!」
「あら、図星」

 姉さんはにんまり顔でページを捲った。

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