秘密の花園×名なしの森

「ねぇ、お茶。まだ?」
「ああ……ごめん」

 いつの間にかコンロの上のケトルからはひゅうひゅうと湯気が立っていた。

 十分に温まったティーサーバーにきっちり量った茶葉と熱湯を注いで、カウンターの端に置く。色が出るのを待つ間に、ティーハニーを用意する。一杯目はストレートで、二杯目にはティーハニーをひと匙(さじ)。それが、姉さん流の紅茶の楽しみ方だ。

 茶葉がお湯の中で踊って、ゆらゆらと色付いていく。

 ティーカップのお湯を捨て、軽く水気を切って外側を拭く。そして、すっかり深く染まった紅茶を注いだ。

 前もってカウンターの脇に置いておいたソーサーの上に乗せて、姉さんの前に置く。もう一杯分が十分残ったティーサーバーと一緒に。

「ありがと」

 姉さんは相変わらず、雑誌のページを捲っていた。

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