秘密の花園×名なしの森

「あ、そうだ」

 ぽんと手を叩いて彼女は言った。

「やってあげようか、ネイル」
「へ?」

 彼女は「うんうん、そうしよう」とひとり頷きながら僕の背中を押す。なんのことだかわからないままの僕は、そのまま店の奥へと押し込まれた。

「くぅちゃん、おかえりぃ」

 馴染みのないイントネーション。声の方へ目を向けると、巻き髪の女性がマニキュアのボトルを片付けていた。

 自分の手元に目線を集中させていた彼女は、僕に気付いたらしくこちらを見やって微笑んだ。

「あれぇ、いらっしゃい」
「こ、こんばんは……」

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