秘密の花園×名なしの森
「湊くん、ここかけて待ってて?」
「あ、う、はい」
くゆりさんはぱたぱたと奥へ駆けて行って、初対面の彼女の前に取り残されてしまった。
(うう……気まずい)
とりあえずくゆりさんに言われた椅子に座る。しばらく俯いたままだったのだけれど、視線を感じて顔を上げた。そしたら、巻き髪の彼女が僕をじっと見つめていた。……なんだか観察されているみたいだ。
「ミナトくん?」
「え? あ、はい」
「私、春田萌。よろしくね」
「後月湊です。よろしく……」
ぺこりと頭を下げたら、ごつんと額をテーブルにぶつけた。地味に、痛い。
「かわいいなぁ。くぅちゃんが気に入るはずやわぁ」
くすくすと、メグミさんは笑んだ。