記憶は私に愛をくれない。
私は涙を流していたみたい。
笑いながら、海星は私の頬に伝う涙を拭った。
「だって、海星、優しすぎ。」
「よく言われるよ、優しすぎて困るってな。」
私は、4年前の過去に囚われているのかもしれない。
でも、私には陸しかいない。
私の頭の中はいつも陸を中心にまわっていた。
陸、会いたい……。
しばらく会っていない陸に、久々に会いたくなる、海星がいる前でそんなことを思う私はなんて馬鹿なんだろうか……