記憶は私に愛をくれない。



「行くか。」


「うん。」



ふたりで並んで歩き出した。



あたしの左手は、陸の右手をしっかりと握っていた。







会場はやっぱり混んでいた。



私と陸はクレープとたこ焼きを買って、去年と同じ場所に座って食べた。




時刻はもう6時。あと30分程で花火が打ち上げられる。

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