記憶は私に愛をくれない。


話し終えた後、お義母さんはそれまで陸に聞こえないよう小声で話していた声をもっと小さくして、



「おかえり、美初ちゃん。陸をよろしくね。」





と話してくれた。





でも陸には私じゃない、彼女がいます。なんて到底言えなかった。



だから、


「はい。」




と頷かしかなかった。
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