記憶は私に愛をくれない。


7月の夜は蒸し暑くて夏を感じさせた。




「こ、こんな家だけど、来たかったらどーぞ?」




最後は変な疑問形で終わった陸。




あれ、もしかして……、



「照れてんの?照れてんだぁ。」




「て、照れてねーし。変なこと言うな。」




「素直じゃないね。」




俺はもともとこういうやつなんだし、と意地を張る陸に笑いがこみ上げてくる。
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