記憶は私に愛をくれない。



「陸、ありがとね。」



ヒューーーーーーーーー………
ドッカーーーーーーーーン………。



「え?何?」


陸が何か言ったみたいだけど花火の音で聞こえなかった。



「なんでもねーよ。戻んのめんどいし、ここで見る?」




質問に対する答えはあまりに嬉しいもので



「うんっ!!!」


つい思い切り頷いてしまった。




フッ、と小さく陸が笑った。





午後6時半、年に一度の花火大会が始まった………。

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