記憶は私に愛をくれない。
この日、花火大会が終わった後は、人が混雑しすぎて夏恋たちに会うことはできなかった。
だから帰りは2人で仲良く歩いた。
少し私の顔が赤くなったのは、陸の服をつかんでたかもしれない。
足が痛くてうまく歩けない私に、陸が転ばないようにと服を掴んでいいと言ってくれた。
おんぶしてくれないのが残念だったけど、
私の家までついてきてくれた陸には本当に感謝した。
たったそれだけのこと。
だけど一日で積み重なった『それだけ』はたくさんありすぎで、
私の陸へ対する思いはますます膨らんだ。