記憶は私に愛をくれない。



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2日目。


今日は私と、陸のレースがある。



陸は100mバタフライ。

私は200m平泳ぎ。



私たちが全国大会の切符を掴み取ったのはこれだけだったけど、全国の舞台に来れたってことだけで私は舞い上がっていた。






「美初、そろそろアップ。」



「あ、あ、そうだ。行かなきゃ。」







あれから、陸は私を『美初』と呼ぶようになった。


また陸から名前で呼ばれる。正直嬉しかった。



なぜかそこで、一木先輩と並べた気がした。
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