記憶は私に愛をくれない。
「え、でも待って、私のこと今振ったばかりでしょ。おかしくな………」
「好きだ。」
「え、」
体が固まったようだった。そしてだんだん体中が熱く火照るのがわかる。
「俺も、お前が好きだ。でも、お前が見てるのは今の俺じゃないんだ。過去の俺の姿なんだ。」
さっきと同じことを繰り返す陸。
私が見てるのは、今、目の前にいる陸なのに……。
「だから、まだ付き合うのはやめよう。もしお前が、今の俺を見てくれるようになったらまた、告白する。」