記憶は私に愛をくれない。



「え、でも待って、私のこと今振ったばかりでしょ。おかしくな………」




「好きだ。」






「え、」




体が固まったようだった。そしてだんだん体中が熱く火照るのがわかる。




「俺も、お前が好きだ。でも、お前が見てるのは今の俺じゃないんだ。過去の俺の姿なんだ。」





さっきと同じことを繰り返す陸。




私が見てるのは、今、目の前にいる陸なのに……。




「だから、まだ付き合うのはやめよう。もしお前が、今の俺を見てくれるようになったらまた、告白する。」


< 89 / 159 >

この作品をシェア

pagetop