あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
すでに私たちの周りで話の輪ができていて、途中から参加した私と課長は、隅に追いやられてしまっている。
中に加われない私たち二人は、大人しくビールを飲んでいる。
私は、思いがけずプレゼントをもらったみたいだ。
彼がすぐ横にいて、私だけのためにいてくれるみたい。
ちょっとしたしぐさ。
箸を持つ手の動きの自然さ。
不意に、質問されたときの彼の表情。
質問した人が、輪の中に戻って行っても、気にしないで、また元の状態に戻る。
課長は、輪の外に取り残されても、さほど気にしない人みたいだ。
聞かれたら、答えて、聞かれなかったらそれでもいい。
そんな感じで、マイペースに食べて飲んでる。
国崎君が、私のことを思い出したのか、仲間に引き入れようと、さっきの私のしたことを話し出した。
あ~あ。楽しい時間は終わりだ。
「なんだ、君は、そんなことをしてたのか?」
驚きで、目が大きくなる。
「さすがに、明晰な頭脳でも私の行動までは予測できないでしょう」
彼は、大げさに頷いて笑った。
「君のことで、予想が当たったことなんかないぞ」
冗談交じりに、彼はそう答える。
「そういえば、課長は、私のこと面接に来たウェイトレスだって言いましたよね?」
「悪かった。でも、そういう雰囲気だったから」
「服装だけで、判断されたんですか?それとも、中身でそう思ったんですか?」
「一度見ただけじゃ、中身のことなんてわからない」