あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
レストランで働いていれば、お客さんで混みだすと、自分の食事のことなんか気にしていられない。そんなことはよくあることだ。
ずっとそういう中で働いてきたから、食事の時間が不規則になってしまうのは気にならない。
課長がジョッキを傾け、もう一度乾杯するようなしぐさをする。
「よく働いてくれたね。ゆっくり飲みなさい。本当に、君は予想もつかない人だね」
「ありがとうございます。それ、誉め言葉でいいんですか?」
謎が解けてしまって、残念だった。
今日、1日中頭を悩ませていたかったけど、それは、また別の機会だ。
「そうだよ」
「せっかくですけど課長、ゆっくりされてる時間なんかありませんよ。一次会もうお開きですから」
「そうか。もうそんな時間か」
「あ~あ。料理ほとんど食べてないし、課長もビールも一杯だけでしたね」