あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
みんな外に出てしまって、私と課長の二人だけがその場に残った。

宴会が終わって、しんとした部屋に二人きりで残された。
片付けの終わってない部屋に、二人きりで残された。

どうしようかなと思ってると、さっきのビールを注いでいたお兄さんが来てくれた。

「すみませんでした。本当に助かりました。別に席を用意しましたからこちらへどうぞ」
そう言って、何度も頭を下げられた。

そして、厨房の奥の個室に案内された。

席についた頃、奥からこの店の店長が、挨拶に来て、本当に助かりましたと何度もお礼を言われた。

店長が、笑いながら言う。

「冗談抜きで家で働いてもらえませんかね。こんなに接客の上手な人滅多にいませんよ。本当に。お休みの日だけでも」

課長も冗談まじりに答える。

「残念ながら、うちでも手放せない優秀な部下ですので、そちらに差し上げることはできません」と真面目に答える課長。

「では、ごゆっくりと」

「楽しそうだね。疲れただろう」
課長が新しいジョッキを渡してくれる。
その時に、軽く手が触れた。


「楽しかったですよ。体を動かすのが好きなんです。人と接するのも。だから、こういう仕事向いてるんです」


「人に関する仕事というのは、人事もそうだよ」

「はい」
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