あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ



パタンと閉じられたドア。

微かに聞こえる、彼が咳払いする声。

冷蔵庫のモーターの音。



その扉の向こうには、課長がいる。



考えれば、考えるほど目が冴えて来る。

音にもますます敏感になる。


バスルームのドアが開く音がして、水の流れる音が微かに聞こえる。

しばらくして、もう一度、扉が開く音がした後、急に静かになった。



そうして、音は全然聞こえなくなった。

課長、眠っちゃったのかな。


『栗原?』

『はい』

『人にじっと見られるってどんな気分?』

さっき課長が言ってた言葉が繰り返し再生され、最後に課長はこう言っていた。



『俺に抱かれてるのは、どんな気分?』




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