あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ




吉沢さんに言われてから、次の日に3人で出かけたランチの時まで、私は、自分がコンピュータで選ばれて、ここに居るのだということを引きずっていた。

『他言無用』って課長にうるさく言われたから宮崎さんには言えなかったけど。

そりゃあ、引きずるよ。

だって、そうやって配置換えされた人って、他に聞かないんだもん。


「でもさ、考えようによっては、人事担当者の裁量で選ばれるより、コンピュータではじき出された結果で選ばれた方が客観的でわかりやすいと思うけどな」宮崎さんが言う。

ん?
なんで、宮崎さんが知ってるの?

「まあ、そうだな」国崎君も同調する。


「どうして?どうして、そんなふうに言えるのよ」
私は、交互に二人を見る。

「だって、より多くの情報を取り入れて判断したってことだから、その中で公平に選ばれたんだから、何も気にすることないじゃないか」国崎君が頷きながら言う。

国崎君が、「こいつになら話しても大丈夫だろ」と宮崎さんを見ながら私にだけ聞こえるように言ってくれた。

「ありがとう」
私は、お礼を言う。
< 140 / 240 >

この作品をシェア

pagetop