あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
気をよくしたところで、宮崎さんに釘を刺された。
「いずれにしてもさあ、希海が心配するのは、これからあなたが残す仕事への評価なんだから、選ばれた理由が人事の担当者だろうと、コンピュータだろうと関係ないんじゃない?」
だから、その通りですけど。
さらっと、ずばっと厳しいこと言わないで欲しいな。
人事の担当者が選んだのは、その人の責任みたいに言えるところがあるけど、コンピューターに向かって、私はどうやって文句を言ったらいいのよ。
なんてこと、宮崎さんには言えませんけど。
「はい」
何も言い返すことはありません。
「それはそうと、私ちょっと用事があるから先抜けるね。二人でゆっくりしてって」
宮崎さんが、バッグを持って急に立ち上がった。
ん?
なに?
もしかして、私、彼女を怒らせた?
「じゃあ、私もオフィスに戻ろうかな」
私もつられて立ち上がろうとする。
宮崎さんは、いいからと私を手で押しとどめ、
「希海、一度、国崎と話し合って」
彼に聞こえないように小さな声で言った。
「わかった」
何のことだか、分からないと言いたいけど。
そんなこと言ってられませんよね。
はい。分かりました。
うやむやにするな。
確かに。あなたの言う通りです。
といわれてみたものの、いきなりこんな時に話を切り出すのはどうだろう。
国崎君は、注文したアイスコーヒーをすでに飲みほして手持無沙汰だ。
「出ようか?」
「ああ、そうするか。いいよ。オフィスに戻る?」