あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ


「ただいま」
といって、誰もいない部屋に帰る。

電気をつけると、いくらか落ち着く。



交友関係がほとんどリセットされてしまったように、仕事の帰りに飲んだり遊びに行ったりすることがなくなった。



荷物を置いてすぐに、バスタブにお湯を張る。


窮屈なスーツを脱ぎ捨てて、ベッドの上に横になった。


着替えを探そうと起き上がったら、朝出かけにランドリーボックスに放り込んだままになってるのを思い出した。

『いつになったら自分で洗濯するの』

母に怒られても、聞こえないふりしてさっと家を出て行ってた。

こんなふうに疲れて寝てたら、
『風邪ひくよ、早くご飯を食べなさい』って揺すって起こしてくれる人もいない。

私は、クローゼットから別の部屋着を出して、着替えてさっき駅前のスーパーで割引シールの貼られた弁当を広げる。
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