あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
課長は、このところ席を外していることが多く、外出して、会社にいないことも多くなっていた。
朝、会社に来て、しばらく電話でやり取りをする。
だいたい、国崎君と打ち合わせをすると直ぐにオフィスを出て行ってしまう。
課長は、面倒なのか国崎君にだけ、行先を告げて出かけてしまうことが多くなっていた。
国崎君も、課長の仕事を引き継いで忙しそうにしている。
時々、国崎君が課長に連絡を取ろうとして、携帯に電話している。だから、課長が出先にいると分かる。
「えっと、今大丈夫ですか?はい。聞こえてますって……」
国崎君が資料をめくりながら話す。
「サクセッションプランの件なんですけど……はい。その点は、大丈夫でした。上からは許可取りました……」国崎君は、今、幹部候補生の研修の手伝いをしている。それで、上の方の人たちとの調整役をしているのだろう。
「いったい、課長何やってるんだろうね」
恵麻ちゃんが首をひねる。
「知るかよ」
国崎君が吠えた。
課長からは、メールで連絡が来ていて、
『吉沢から聞いた。それで進めて欲しい』
という、素っ気ないメールが一通来ただけだった。
それで、吉沢さんを交えて3人でキャリアアップ講習会の内容を詰めることになった。
ほぼ去年通りの内容になりそうだし、吉沢さんもついているから、報告はいらない。
「吉沢さんから聞くからいいよ」と言って、課長は会議には参加しないことになった。