あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
「課長、これ渡した時、何か言ってたか?」

「私がもらったんじゃないもん。それに、全然。課長って、いつも席にいないの知ってるでしょう?」


「まあ、そうだけど……」

「どうかしたの?何か気になることでもあるの?」
逆に質問する。

「ああ、ちょっとな」
早く話せばいいのに。


「話しちゃいけないこと?」

「口止めはされてないけど、なんか変だなあと思って」


「ん?」

「ほら、俺、今、幹部候補生の研修してるだろう?」


「うん」


「そのメンバーがちょっとな」
奥歯にものが挟まってるみたいな言い方だ。

「メンバーがどうかしたの?」

「普通なら、業種ごととか年代別とか、くくりがあるはずなんだけど、そうじゃないみたいなんだ。みんなバラバラだ」


「そうじゃないって?バラバラだと何が悪いのよ」
見当もつかない。

「まあ、お前に言っても分かんないよな」
ムカッっとする。気が付いたなら、教えてくれればいいのに。

「なによ、それ」


「まあ、気にするな」
気にするだろ。そんなこと言われれば。
< 154 / 240 >

この作品をシェア

pagetop