あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ


思ったより広い肩。

ピッタリと撫でつけられた髪。


並んで歩くより、藤原課長の少し後ろを歩く方が好きだ。

こうしていれば、彼の後ろ姿を好きなだけ見ていられるから。

今のところ、私が後ろにくっついて歩いていることに、彼は何も言わない。

私の存在を忘れているだけかもしれないけど。



『帰った方がいい』っていうのは、

そばにいて居て欲しいけど遠慮してるのかな。


それとも、必要としていないから帰ってもらっていいということなのか。
どっちなのか分からない。

なので、私は遠慮がちに歩いている。


並んで歩いてるとどうしても、彼が何を考えているのか知りたくなって、つい、その端正な横顔の表情が気になってしまう。

間違っても、手をつないでくださいなんて言い出さないように。

もうすぐ、この通りをまっすぐ行けば課長のマンションにつく。

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