あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ

「栗原に、何か用ですか?」
とうとう、こらえきれずに課長が立ち上がった。

そして、ぶっきらぼうな言い方で、月島さんに声をかけた。


月島さんが、課長の顔をじっと見てる。

「突然押しかけてすみませんけど、ちょっとこいつ借りていきます」
そういうと、私の体に両手を入れて立たせようとする。

「ちょっと待って。止めてくださいって」


普通に話せばいいのに。マネージャは、無駄に、馴れ馴れしい言い方をする。

今は仕事中だ、いつもならこんな言い方はしない。


「どんな用件です?ちょうど手が空いてます。私もお話を伺ってもよろしいでしょうか?」
私と月島さんは、顔を見合わせた。課長が真面目に話してる。


「は?い、いやあ、栗原個人に用事があるんで、藤原課長にはお手数かけませんよ」
月島さんは、無視してそう答える。


「どちらかにしてもらえませんか?用件をお話しいただくか、同席を許可していただくか」

これには、国崎君も恵麻ちゃんも無視出来なくなって、顔を上げた。


「藤原課長、それには及びませんよ。でも、お昼休みに、誰とどこに行くのかは自由でしょ?」と言葉をいったん切って、月島さんが私の耳元で言った。

「昼休み、抜け出してこい。待ってるから」

「はい」

いちいち面倒なことしてくれるなあ。本当に。
月島さんの言葉に、課長は、明らかに不満だという表情をしている。
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