あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
「なんかあった?」

店舗運営部に配属されて、仕事の要領がつかめなくて、悩んでた時もそうやって連れ出して話を聞いてくれた。

「仕事のことじゃないですけど……」

月島さんは、何だそうかといって、ガハハハッって豪快に笑った。
そっか、そっかと言って自分の頭を叩く振りをした。


「いっちょ前の口きいてんじゃないか。お前から、そんな色恋沙汰のため息聞かされるなんて、俺も年取ったな」私はまだ、何も話していませんが。


「どういう意味ですか?」


「いやあ、だからさあ、あんなパンツ見えそうなスカート履いてたガキが、こうして窓の景色見ながら、ため息つくようになっちゃたんだっていう驚きっていうのか?
時間が経ったんだなって思ったりして、感慨深いってことだ」

「そんなこと心配して、私に会いにきたんですか?」

私にだって、こんな仕事の鬼みたいな人が、わざわざ元の部下を理由もなしに訪ねてくるわけがないというのは分かっている。
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