あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
「希海?」


「ん?」


「あの人とどんな関係?」


「ん?あの人って誰」


「二人で何してたの」
彼は、私がとぼけていると思ってるみたいだ。

いつの間にか、手を取られてぎゅっと握られていた。

「彼は、君に何した?」


「何したって……
何を言ってるの?もしかして彼って、月島さんの事?」
なんだと、あり得ないと言って笑い飛ばしたのに、課長は表情を変えなかった。

「もし、今夜、君が月島さんと過ごしてたら、どうしようかと思ってた」

「私が月島さんと過ごしたら、どうだっていうの?」

「俺の言ってる意味が分からないのか?」


「課長こそ、言ってる意味がわかりません」


月島さんと私?

ないって。あり得ない。想像したら、笑ってしまう。
この世で父と兄の二人の次にあり得ないって。

「何がおかしいんだ?」

ずっと兄と同じだと思っていた人だ。

抱き合うなんて発想はない。
月島さんだってそうだろう。

「うわっ。もう、想像しちゃった。月島さんとなんて、兄貴とおんなじくらいあり得ないって」

私は、課長に向かって言う。

「君の方はそう思ってなくても……」

「頼むから、止めてください。一瞬でもおぞましい光景を思い浮かべてしまったじゃないですか」



「課長?」どうかしましたか?



私には、新しい疑問が頭に浮かんだ。

課長……



私達が始めてることって、いったい何ですか?
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