あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
私は、彼のしてくれたキスで愛情を図ろうなんて考えは止めることにした。

すべてが終わった後も、彼はまだ、熱の冷めてない体で私の上に覆いかぶさっていた。



彼の名残惜しそうな、キスが続いた後、私は思い切って尋ねる。

「会社にいるのは、あとどれくらいなの?」

彼の指は、外れかかったブラから中身を引っ張り出して、肌の感触に夢中になっている。

うっかり本音で答えてくれたのかもしれない。

「来年の3月……契約ではね」

途切れがちな、息の間にそう答えてくれる。
答えてくれると思わなかった。

「じゃあ、そこまでの関係ってこと?」
冗談ぽく言ったのに、笑ってくれない。

何も答えず、腕を押さえられて、キスで口を塞がれた。


「今のところは……そうなるだろうな。
その後も関係を続けるのは大変だ」


「大変だ?恋愛することがそんなに大変なの?」
冷静に聞こうって思ったのに。
やっぱりそうは、いかない。

「希海……ちょっと待て」

「ずっと、そばにいられないのはどうして?会社にいなくても関係なら続けられるはず」
彼の体が離れていく。

「退職したら、俺はもう日本にいない。契約が終わったらアメリカに行く。だから今日は、その話をしようと思ってた」


そんなことよく平気で言えるな、この人。
しかも、よどみなく普通に。

寝耳に水。
そんな話聞いてなかったな。


私に感じてるのは、本当に単なる欲望?

そう言いたいの?
今までしてくれたことって、愛情からくるものじゃないってこと?



彼は、私を押さえつけてから言う。

「どうしたの?君は、俺に正直になって欲しかったんだろう?だから正直に君が欲しいって言ってるじゃないか」彼の体が覆いかぶさってくる。


「君を抱くのは、好きだよ。ほら、もう一度抱いてやる」
一瞬だけ見せてくれた、優しい眼差しはどこかに消えてしまって、どこかに消えてしまった。

「確かにそう言ったけど」

どうして?そんな言い方するの?
それじゃ、わざと傷つけようとするみたい。

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