あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
課長……
言葉が信頼できないって時、私はその人の行動を気にしてきた。
藤原さんとは、本当に必要なこと以外話さなくなっていた。
目も合わさないから、早速、国崎君が変だろうって気にしてくれてる。
これは、わざと課長の方が私を避けているように思う。
あまり、熱を上げられると困る。
会社を去るとき、別れなければいけないから。
一時的な感情に流されても、自分の信条は曲げない。
そういう人なんだろう。
彼の言う通り、私が勝手に夢中になって、後を追いかけただけなのだ。
課長は、そのことに、気付かせようとしているのかもしれない。
ランチタイムに宮崎さんと国崎君で三人で出かけて、無理してお腹に詰め込んだら吐きそうなくらい食べてしまった。
どうやら、上手く行かなくなると、私は、胃袋も神経にも、無茶させたくなるのだろうか。
帰って来て、午後イチの会議だなんて、すっかり忘れてた。
眠くなるなっていう方が無理だ。
「恋より、キャリアかあ。いいねえ。何か意味がありそうで」
もう、やけになっていた。
社内向けのセミナーの案内を出すのに、キャッチフレーズを考えていた。
「ダメです。センスなさすぎです。主任」
恵麻ちゃんが早速突っ込む。
ダメだ。
全くダメだ。
何もやっても、手に付かない。
たいていのことなら、負けないで前向きでいられるんだけど。
一度、調子が狂うと自分でもどうにもできないらしい。
やっぱりあんなエリート様の考えることは分からない。
「主任、ちゃんと聞いてますか?」
「ん、聞こうとは思ってるよ」
「ふざけないで聞いてくださいってば」
「だから、私の意見ちゃんと言ってるってば」
吉沢さんが入って来た。
「キャッチコピー決まった?」
いつにもまして、爽やかな吉沢さん。
「いっそのこと、花より団子とか」
「それは、面白いけど、希海ちゃんどうかした?」
「どうもしてません」
「そう?さっき裕二にもあったけど、あいつも同じように考え込んじゃって。珍しいなと思って」
「あれで、考えてるポーズだったんだ」
恵麻ちゃんが突っ込んだ。