あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ

吉沢さんが私と恵麻ちゃんに研修の意義について、優しく説明してくれている。


「教育した効果を測定する必要があるの。やりっぱなしで、形だけアンケートを取って終わりにしてたら、せっかくの教育が無駄になるでしょう?」

だいぶ慣れて来たが、会社がこういった教育を行うには理由がある。
それは分かる。

会社が要求することを、吉沢さんみたいな人が、いろんな難しい理屈を踏まえて分析していって、研修した内容がよかったのか悪かったのか確認するのだ。

吉沢さんみたいな人なら、課長と一緒にいられるのか。

時々、廊下でアカウンタビリティとか、ビヘイビアとか吉沢さんと課長が内容について、議論してるけどカタカナばっかりで、何を言ってるのかよくわからない。

二人とも並んでみると話してることとか、要求レベルが私の遥か上にある。


私は、課長に近づきすぎていて、一緒にいると彼が私のために、相当レベルを落としてくれてることを忘れてしまっている。


桜子さんは、客観的にすごいと思う。

あの藤原さんに言い返している。
同じ知的レベルにいる彼も、吉沢さんと同じように本当は凄いんだろう。

私には、二人とも、遠くにある星のようだ。
目を凝らして見つめているだけで、決して手の届くような存在じゃない。
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