あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ


こうして話してると、何も考えてない軽いタイプにも見えない。

天野君は、ビールでお疲れさまと乾杯すると、仕事の話題には触れずに、学生時代の話をしている。

何となく、私の出方をうかがってるような感じだ。

だから、まったく何も考えてないわけじゃないのだろう。

会う前に、いろいろ理由になりそうなことを考えて来たけれど、どれも当てはまらなそうなものに思えた。



どうでもいい世間話が続いて、タイムリミットだと思った。
このままだとただ、話だけして終わってしまう。

「本当に、いい店知ってるのね。料理もお酒も満足したわ。でも、そろそろ何か話してくれないと、何も聞かないで帰るけどいい?」

「よくないです」

「だったら、ちゃんと説明して」

「まいったな。もうちょっと、打ち解けてから話そうと思ってたのに」

「十分、打ち解けてると思うけど」
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