あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
「初めまして……栗原希海と申します。私は……」
改めて、人事部人材開発課のメンバーと向き合う。
と言っても、私の他、課長は会議中。
もう一人は、人の話を聞こうっていう友好的な態度は見えないけれども。
握手ぐらいして、女同士軽く雑談でも。
にこやかに笑って、手を差し出した。
支店の時は、そうして入ってきた人に、仲間に入りやすくしてたんだけど。
もちろん、受けた側も差し出されたら、受け取ろうよという空気を察してくれる。
だが、ここはそうじゃないらしい。
「挨拶は、さっき聞いたから、もう結構です」そうですか。
塩崎さんは、きっちりと髪を1つに結んでいて、きれいな顔をキリッとこっちに向けて言う。
無駄口は、結構ですって言うみたいに。
彼女は、3つ並んだ机のうちの1つに、手に持っていたファイルを置いた。
「えっと、課長から言われてるのは、資料に目を通しておくこと。
机はこれ使ってください。パソコンは、机の上に置いてあるのを使って下さい。
資料は、人材開発の名前で年度ごとにファイルに入ってますから」
「はい。ありがとうございます」
取りあえず、最新型の機種と環境を整えてもらったことは感謝しよう。