あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
「3人だから、4人用の一番小さなスペースでいいと思う」
恵麻ちゃんが社内システムの予約ボタンを押した。
予約した会議室に入り、
恵麻ちゃんと私が並んで、課長が私たちの前に座る。
「ええっと、恵麻は知ってるから説明は必要ないけれど、新しく来た主任は本社の置かれた状況のことは、何も知らないと思うので、説明しておく」
高くも無く低くもないちょうどいい声。
悪く言えば特徴のない声。
だから何だっていう声。
でも、言ってることに無駄がない。
雑談なんて一切しないから、ぼうっとしてるとすぐに、話が進んでしまって、なに話してたのか分からなくなっちゃう。
「はい」恵麻ちゃんにつられて、二人で仲良く答えた。
「我が社は、3年前に大規模な合併をした。大手チェーンのファストフード店と全国展開している外食チェーンだ。
それで、管理部門も大幅に人が増えて、人事も総務から独立して、そのうち人事部となる。
今は、人事部の体制が整うまでの過渡期にある。だから、落ち着くまで気の抜けない日が続く」
「はい」
早すぎて、メモ取れない。
すでにリタイア。
恵麻ちゃん中身ちゃんと分かってるかな。